記録

2002.05

その日はわたしの知っているシネサロンとは雰囲気がまるで違った。

開演15分前だというのに座席の半数は人でうめられていた。パンフレットを読む者、連れとおしゃべりする者、おにぎりを頬張る者・・。

誰かがわたしに声をかけた
「スクリーンが小さいので前の方に座った方がいいですよ」

わたしはその声に従い、最前列の右から5番目の席に腰をおろした。

監督が舞台挨拶をする。炭坑の映画「闇を掘る」の上映開始だ。

スクリーンに写し出される人が替わる度に観客は、「あっ、○○のだれそれさんだね・・」と囁きあう。

その中にはわたしの知らない世界が、現実が映し出される。

1人でも多くこの映画を観てもらいたい。あなたのお近くで上映される時にはぜひ足を運んでもらいたい。

舞台挨拶をする監督の穴あき靴下をみつめながら強くそう思った。

無理をいって色紙に書いていただいた藤本幸久監督の言葉、「記録なくして事実なし」が心に響く。

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幹事長ゆいまる